
会社売却を考えているんだけど、どんな準備と手続きをすればいいのかな?

会社売却って難しそう。
会社売却までの道のりが全然見えてこない。
具体的に何から手を付けていけばいいのか教えてほしい。
…人生で会社を経営する経験をする人は、少ないですがM&A、会社売却をする人はもっと少ないというのは事実です。
よって、中々体験談のようなものは出てこないというのが現実。
そこで、今回は2020年にバイアウト経験のある私が、経験談を交えながら、会社売却の準備と手続きについて解説できればと思います。
1店舗の店舗売却を考えている方から、従業員を十数名抱えている会社の方まで広く役立つと思います。
この記事を書いた私は…
2015年に起業して、2020年に会社売却した経験があります。
会社自体がそこまで大きくなかったので、M&A業務は一人で行いました。
正直、起業して軌道に乗せるまでの過程より、バイアウトまでの道のりの方がきつかったです。
会社売却の準備を一番分かりやすく解説
会社売却までの流れというのは、大方決まっているので、それに添っていけば大丈夫です。
特に心配はいりません。
流れについて詳しくは、下記の記事を参照ください。
ただ、何から手を付けて、何を準備すればいいのかわからないという方に向けて、今回は会社売却に向けての準備について解説します。
どんな流れで会社売却が行われるのか知っても、実際自分が会社を売却する際何からすればいいのかわからなければ、手を付けようがないですよね。
会社売却に向けて準備すること
ここでは、具体的にどんな準備をしていけばいいのかお、ということをお話していきます。
実際私が、会社売却に向けて行ったことは以下の事です。
- 社長(自分)がいなくても、会社が回るように仕組みづくりを済ませる
- 決算書2期分、賃金台帳1年分、雇用契約書、各契約書をデータにして保存
- M&A会社、商工会議所 事業継承センターに登録
特に準備の段階で重要なことは、【1.社長(自分)がいなくても、会社が回るように仕組みづくりを済ませる】ということです。
ここからは、各準備を詳細に解説していきます。
社長(自分)がいなくても、会社が回るように仕組みづくりを済ませる
まず、会社・お店のオーナーがいなければ、商売にならない・売上が立たない会社は売れません。
会社を売却して、オーナーがいなくなったとたん、売上が立たないような会社を買いたいと思う会社はいないからです。
例えば、社長・オーナーしか技術や免許がなくて製造できない商品がある。
また、社長・オーナーに顧客がつくような美容室のようなサービス業の場合は、このような懸念があります。
社長・オーナーありきの会社やお店は、まずその存在を表から消して裏方に回っても尚、売上を作れることを証明することをまず優先してください。
最も、会社売却が成功する会社というのは、それを見越して起業の段階から会社・お店を作っている場合が多いです。
そうでない場合も、徐々に社長・オーナーが現場から身を遠ざけても大丈夫なように、業務マニュアルを作成するだとか、定型の社員教育を作ればいいです。
そうした場合、後に引き継いだ会社も、そのマニュアルや教育を引き継げば、その後も事業を継続していくことができます。
決算書2期分、賃金台帳1年分、雇用契約書、各契約書をデータにして保存
これらは、必ず買収希望の会社は目を通すことになるので、あらかじめ用意しておきましょう。
そもそも、会社・お店の業績や資産状況、社員の取り扱い、借入を含めた契約を知らずに、買収を名乗り出る会社はないからです。
過去記事の 会社売却の方法を一番分かりやすく でも解説したように、交渉が始まれば、真っ先にこれらの書類の提出を求められます。
そこで、もたついていると
「なんかいかがわしい事でもあるのかな?」
「準備していないってことは、自分だけとしか交渉していないな!」
とこのように勘繰られます。
見ず知らずの会社と交渉することになるのですから、基本疑いの目で見られると思ってください。
そして、交渉相手が、「自分たちとしか交渉していない」とみるとかなり足元をみて買いたたかれる結果になりかねません。
なので、あらかじめこれらの書類はPDFにして保存しておきましょう。
M&A会社、商工会議所 事業継承センターに登録
社長・オーナーがいなくても売上が立つ、そして提出すべき書類は準備済みとなればこの段階です。
M&A会社や商工会に、会社の売却情報を出さなければ、そもそも買い手側も売り情報を知る由がありません。
なので、準備が整ったら、漏れなく売り情報は出し切りましょう。
下記のM&Aサービスは無料で売り情報が出せます。
まだまだ日本ではM&Aが浸透しておらず、親族継承が主流。
正直、M&A会社1社に売り情報を出しても、そう簡単に買い手はつきません。
なので、無料で売り情報が出せるものは全て出す、ということは非常に重要です。(因みに基本合意までならいつでも売り情報は取り下げられます。)
【無料で売り情報が出せるものには全て登録!買い手を選べるようになるためにも】
従業員・取引先にはいつ知らせるべき?
基本合意が締結された後に、説明の場を設けるのが良いです。
というのも、ほとんどの会社員にとって、起業家が会社売却、バイアウトをなぜするのか理解していません。
もっというと、今の会社規模より大きなところに会社売却、バイアウトをすることでより発展する可能性が高い中、従業員にとっては会社売却と倒産と混同している人も多いからです。
これくらい日本では、親族事業継承には理解がありますが、M&Aによる他社への事業継承に至っては全くといていいほど理解がありません。
中途半端に準備段階で売却を発表すると混乱する恐れがあるからです。
上記のように準備段階では基本的には、トップシークレットを守ったほうが良いです。
もちろん、会社売却は会社やお店にとってこれほどにないチャンスでとても喜ばしい事ですが、なぜか日本では親族以外の事業継承には理解が示されません。
なので、準備段階では何も言わず、大方決定した段階で、会社売却、M&Aの概念についてから説明し、自社の今後について説明したほうが良いと思います。
売却前に混乱が起きると、売れるものも売れなくなる可能性があるので。
会社売却は準備が大事
売り情報を出したからといって、簡単にM&Aが成立するほど甘くはないです。
準備しつくしても、M&Aが成立しない場合の方がむしろ多いです。
全く見ず知らずの他人の会社を買うわけですから、簡単ではないことは何となく理解頂けるのではないでしょうか。
日本では、会社売却情報を出しても、実際に成立するのは2%ほどといわれています。
狭き門であることは、間違いありません。
なので、準備なしで挑むのは無謀すぎます。
もちろん、買い手あってのM&Aなので、時期など運に左右されるのは否めません。
実際私も、運の要素が重なった、むしろ運が良かったとしか言いようがないのですが…(7社と交渉して6社と不成立、諦めかけた最後の1社と成約した)
ただ、今後親族継承が難しくなる中、M&Aこそが中小零細企業、小規模事業者の発展の道だと思っています。
これから、M&A、会社売却を希望する会社や事業者の方にはぜひ、運頼みでなくしっかり準備してより多くのM&Aが成立するビジネス界が日本でもスタンダードになっていってほしいですね。
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