実際に起業した人の話が聞いてみたい
起業して、失敗したこと、成功したことが知りたい
起業に興味があるけど、実際どうなのか知りたい。そして一歩踏み出したい。
起業するときは私もそうだった。
実際のところ、どうなのかというのがすごく気になる。
まず、起業をする人生を選択する人は圧倒的に少数派なので、起業の体験談を聞ける環境は少ない。
そこで今回は、私の起業体験談として、特に起業してきつかったことをお話する。
この記事を書いた私は、2015年に一人でパーソナルジムを起業して、直営2店舗、FC1店舗で従業員10名を擁していた。その後2020年にM&Aでバイアウトした経験がある。
起業してきつかった私の体験談

起業して約5年間いわゆる“社長”という立場を経験したが、一番きつかったことは“人”だった。
一般的に、起業するとお金に苦労するイメージが強いと思う。
もちろん、お金には苦労する場面もあるが、それよりも人、特に従業員で苦労する。
なぜならば、人はお金と違い個性を持っているから。
意外とお金より人で苦労する本当のワケ
お金は稼いだり、借りたりすると通帳の額面は増える。
しかし、使えば反対に減る。
稼いでいて使っていないのに減ることはないし、稼がずに使っているのに増えることはない、お金の動きというのは単純なもの。
しかし、人、特に従業員となるとそうはいかない。
給料を上げても、喜ばれず退職することもある一方、何年も給料が変わらなくてもずっと楽しく働く従業員もいる。
要は、人(従業員)によって、ひどいときには、その時の気分によって受け取り方が変わる。
しかも、事業を拡大すればするほど従業員が増えたので、更に苦労した。
人はお金ほど単純でない。
人を雇ってて初めてお金よりも人にストレスを感じるという意味が分かるはずだ。
お金の苦労、ストレスは?
それはもちろんある。
人にもよるだろうが、やはりお金より人だ。
お金はこちらの集客や販促、経費削減の努力で改善できる一方、人に関してはこちらの努力では変えられないからだ。
冷静に考えてほしい。
お金が無くなれば、支払いができずに終わる。
ただそれだけだ。
後は、破産するなりして再スタートを切ればいい。
もちろんしっかり支払いができることが望ましいことは当たり前だ。
しかし、無いものはないのだ、ある意味仕方がない。
誰しもそうなる可能性はある。
しかし、支払えないからといってお金が自分たちを攻撃してきたりすることはない。(請求してくる人、会社はそれなりに求めてはくるが破産したらそれで終わりになる)
しかし、従業員となれば違う。
何か彼ら、彼女らが不満を持った途端、会社もしくはオーナーにかなり高い確率で攻撃してくる。
結託して集団退職や、中には自宅に押し掛けられた経営者の話も聞く。
もちろん私は、従業員に攻撃されたことはないが、このような例は枚挙にいとまがないので、明日は我が身と思うとストレスになる。
しかも、雇う人が多くなればなるほど、その可能性は大きくなる。
お金は、支払いができなければ「すみません」でいいかもしれないが、人の場合は「すみません」が全く通じなくなることもある。
だから、そうならないための気遣いは、お金の数倍なんて比じゃない。
実は、お金で苦労している方がマシなのだ。
払えなくなったらすみませんが通じるから。
逆に言うと、お金のストレスに耐えられない人は、人のストレスには耐えられないだろう。
それでも人を雇用した理由
複数店舗で営業していたから。
物理的に、人を雇わざる得ない状況なので、雇用し続けるという選択肢しか残っていなかった。
こういった状況になるとさらに大変になる。
従業員からすると、自分たちがいなくなったら会社は成り立たなくなるということを悟り始める。
そうなると発言も強くなる。
面白いことに、とりあえず辞めてもどうにかなる状況であれば、そうでもないのだが、一旦事業を拡大して従業員ありきの会社になると途端に力をつける。
結局、こちらが雇っているのだか、雇われているのだかわからない状況になる。
それもあって、次第に自分のしたいことではなくなったので会社を売却した。
これから起業して“成功”したい人へ

まず何が起業の成功かを自分なりに決めてほしい。
実は、起業の成功は人それぞれ違う。
一般的に、売上が上がり、事業が拡大して、従業員を多く抱えて…というのが起業して成功のイメージではないだろうか?
実は私もそう思っていたし、そうなるべきだと思っていた。
実際に、一人で起業して、事業展開し、従業員を毎年増員して最後には大企業に売却して売却益を手に入れた。
こう聞くと起業の教科書のようなストーリーで、実際に楽しかった。
しかし、もう一度同じ道をたどりたいかといわれたらNOだ。
私が今後したいことではないし、たとえこれまでやってきたことが、一般的な成功といわれても、私は成功だと思わなかったからだ。
私が思う、私なりの起業の成功
超ミニマムでかつ、いつでも売却もしくは辞めることができること。
拡大路線が必ずしもいいことばかりではないことは、前項の従業員の事でもお話した通り。
全て大きいことが、必ずしも経営者、オーナーにとっていいことではない。
売上も小さいほうがいい?!
私はその方が今はいいと思っている。
結果、利益、特にキャッシュがどれだけ残るかが重要だから。
まず、売上に夢を抱かないこと。
そもそも、一般的な会社で売上を上げるということは、それだけ経費を使い、それだけ働かなくてはいけない。
それよりも、私は最低限の売上分だけ働き、あとはゆっくりブログでも書いていたい。
1000万円の売上のA社と100万円のB社、どちらを目指したいだろうか?
A社:売上1000万円ー経費990万円=利益10万円
B社:売上100万円ー経費20万円=利益80万円
一般的にはA社はすごくて、B社はショボいとされる。
なぜだか、日本では売上で評価されるからだ。
だから、売上規模1000億円の企業に憧れる。
利益がどのくらい出ているかはほぼ度外視される。
今後、私は社会からあまり高評価を得られないB社になりたい。
面白い話、基本的に会社の評価は売上規模で評価されるのに、会社売却などM&Aの世界では利益が評価される。
会社売却益を得たいなら、売上でなく毎月どのくらいキャッシュが残るかに注力したほうが良い。
それでも売上至上主義の方へ
それはそれでいいと思う。
何度も言うが、要は定期的にどれだけキャッシュが蓄積されるかが重要だから。
売上が大きくても、経費特に固定費を小さくできるのであれば、それはもちろん利益が残るのでいいと思う。
肝心なところは、売上と経費の差がどれだけあるかということ。
この差を大きくできるのであれば、売上拡大に走っても構わないとは思う。
無駄な人件費、無駄な事務所…一見するとこれらを抱えていたほうが社会的評価は高い。
でも、私からするとそんな無責任な評価はいらないのではないかと思う。
その評価のために経費がかさ増しされ、利益確保のために更に売上を上げなければいけない状況はこりごりだ。
だから、売上は小さく、更に経費の小さい事業を営んで、高く売却してひっそりと生きていきたい。
こんな起業家いかがだろうか?
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